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ぴかいちば
ぴかいちば
千葉のきらりと光る
社長へのインタビューをご紹介。
社長の熱い思いを語っていただきます。

高品質の日本の中古車を
世界に発信していきたい
優秀な日本の中古車を
海外に販売する
 株式会社東北国際貿易は、日本の中古車をUAE(United Arab Emirates:アラブ首長国連邦)にある販売会社からの要望で車を買い付け、コンテナに積み込んで輸出している会社です。
 元々この会社は私の祖父がアフガニスタンに輸入された日本製のエンジンを買って、それを分解してパーツとして販売していたのが始まりです。父が後を継ぎ1990年頃から販売するエンジンを直接仕入れるために、言葉もわからない日本に単身で渡って仕入れを始めました。
 父は入国した関西空港を起点にトラックを借りて、車で寝泊まりしながらその周辺をまわってエンジンの買い付けをする事から始めました。特に仕入れ先に「あて」があった訳ではなく、国道を走りながら買い付けが出来そうな所を見つけては飛び込みで交渉をするといったやり方でした。言葉もわからずに飛び込んで買い付けをしていたので大変苦労したと思います。
 父は何度か来日を繰り返しながら国道沿いに北上して、たどり着いたのが岩手県でした。商品になるエンジンが数多く手に入り、かつ競合も少なかったので、岩手を拠点に活動していく事を決めたそうです。当時エンジンは単に廃品として捨てられていたそうで、父が自動車解体業者に海外では商品価値が高い事を教えた事で、次第に商品として売るようになっていったそうです。
 父は仕事が軌道に乗り始め、拠点として決めた現在の営業所がある岩手県一関市に2002年(平成14年)11月に「株式会社東北国際貿易」を設立し、エンジンや部品を買い付けて横浜港からUAEやカナダへ輸出していました。
 会社が軌道に乗り、エンジンや部品以外にも車両本体も販売するようになり、車両本体は中古車オークションで仕入れるようになりました。しかし、オークションが開かれるのは主に関東で、当初は仕入れた車両をわざわざ岩手まで運んでいましたが、それでは効率が悪いので千葉の現在の本社近に場所を借り受けて営業所として稼働させ、千葉から輸出するようになりました。
株式会社東北国際貿易
工業地帯の一角に本社を構える。
本社の入り口には看板が掲げられている。

日本国籍を取得し、
父の仕事を継ぐ
 私は1992年(平成4年)にアフガニスタンで生まれ、戦火の中7歳の時に難民としてパキスタンに渡りました。父は当時日本とアフガニスタンを行ったり来たりしながら、家族が日本で暮らせるように頑張って働き、2002年(平成14年)にようやく家族を日本に呼び寄せられるようになり私も来日しました。
 来日したのが小学校4年生で、入学はしたものの日本語が全く分からない所からのスタートでした。小学校6年生までは授業も友達との会話も「何を言っているか分からない」状態で、ただ「学校に行って帰って来る」という毎日でした。私はろくに友達が出来ずに辛い思いをしていましたが、アフガニスタンやパキスタンにいた頃は、父が日本やUAEなどへ長期出張でいつも不在だったため、むしろ父がそばにいる環境になった喜びの方が大きかったので、その辛さを乗り越えられたのだと思います。
 小学校では毎日があまりにも暇で、クラスメイトから「サッカー」を勧められ始めた事がきっかけで、徐々に友達もできるようになりました。今にして思えばサッカーを始めた事がすごく良かったのだと思います。
 中学校に入学した頃になるとやっと日本語の読み書きもできるようになり、多くの友達ができるようになりました。中学に進学してもサッカーを続け、サッカー選手になる夢を持っていましたが、高校に進学してもサッカー部に入部したものの、最終的にはサッカー選手になる夢は諦め退部しました。
 この仕事を受け継ごうと思ったのは小さい頃からで、休みの日には父が仕事場に連れて行ってくれたため、仕事自体に馴染みがありました。息子は私一人なので「この仕事を受け継ぐのは俺しかいない」とその思いも強くなっていきました。父も後を継がせるつもりで、「自分は体を使ってやってきたが、お前は自分でもっとやりやすい方法を見つけなさい」と言っていました。
 私はこの仕事には「英語」が必要だと思っていたので、大学に進学して英語の勉強をするつもりでいました。しかし進学間近で、体を酷使したてきた事が原因で父が足を痛めてしまい、手術を受ける事になりました。病床の父の姿を見た私は「少しでも早く父の力にならなくては」と思うようになり、大学行きは断念して高校を卒業してそのまま入社する事にしました。断念した英語の方は、父が言葉もわからなくてもここまでやってきた事を考えると「何とかなる」と今では思っています。更に私は日本でこの仕事を続けていく覚悟で2020年(令和2年)に日本国籍を取得しました。
株式会社東北国際貿易
コンテナヤードのコンテナに積み込んで輸出する。
コンテナに入らない場合は荷台と分離して詰め込みをする。

中古車販売に
舵を切る
 2011年(平成23年)に発生した東日本大震災では、当時コンテナを出していた仙台港が津波で被災し、復旧にも時間がかかるなどの理由で、2016年(平成28年)に本社を千葉に移転しました。
 岩手が本社だった時代は、東北地域を車で回って中古車を買い付け、買った車からエンジンを外して輸出していたので、輸出前の分解作業に手間がかかりました。当時は父の兄弟達も一緒に仕事をしていて、更に何人かのスタッフも抱えていたため、今よりも人数も多かったのですが、兄弟それぞれが分離独立しました。現在は岩手時代よりも人数が減っていますが、作業は中古車をコンテナに入るように分解するだけで、仕入れもネットオークションやオークション会場に出向くだけになり、スタッフの人数は減っても問題なく作業ができています。
 日本の道路のほとんどは整備されているので、車がボロボロになる事はそうはありません。それでも走行距離が10万キロを超えると手放す人が多いようですが、外国では車が動く限り、それこそ10倍の100万キロも乗っています。ここから輸出される車のほとんどはアフリカやアラブ系の国で使用されますが、現地では日本の中古車は新車のような扱いをされます。また日本の自動車は初めから修理する事を考えた設計なので、修理もしやすく、高品質で価格も高くないと好条件が揃っているため、海外では絶大な人気を誇っています。
 その一方で日本に数多く輸入されている「外車」は海外では価格が高いわりに壊れやすく、故障したら直せない事がほとんどだそうです。
 その事を知らなかったとはいえ、解体業者などでは高性能のエンジンが捨てられていたのはもったいない話で、いまだにその価値に気づいていない人も多いのではないでしょうか。海外では日本の中古車や自動車部品、エンジンなどは、手に入れる事が難しいほど人気なのに、日本では処分してしまっているというギャップを何とか私が解消できればと思っています。
株式会社東北国際貿易
高所作業車は大人気のアイテム。
清掃車もそのまま輸出される。

夢はインターネットで誰でも
気軽に中古車や部品が
買えるようにする事
 会社では社長が販売先の現地に赴いたり、電話で商談をしています。一方、私はオークションを中心に仕入れを担当する事と、輸出のための分解・積み込みという役割分担で動いています。
 しかし、これからは人が動いて顧客の開拓や販売をするにはそれなりの費用もかかり、手間も限界があるので、私はインターネットを介して新しいお客様との出会いを増やすと共に、お客様が来社してくださるような取り組みを考えています。
 海外には新車は買えなくても中古車なら買えるという人達もたくさんいるので、日本製の中古車や部品は海外では価格も安く性能が高いという評価を得ています。インターネットを使って世界に発信していく事で、新しいお客様の開拓を拡げていこうと考えています。
 現実には日本の中古車や中古部品は、まだまだ使えるのに廃棄処分になってしまっている物が多く、一方でお客様は来日するのは困難な方もたくさんいらっしゃるので、一般のネットショッピングの様に誰もが気軽に買える仕組みづくりにもチャレンジしたいと思っています。そうなれば、当社が取り扱っている事業用途の車両だけでなく、乗用車の取扱いの量も広がっていくと考えています。
 また、個人的に考えているのは、創業の地の岩手県一関市花泉町を活性化していく事です。花泉町は近くに空港はないし、新幹線が止まる「一ノ関駅」からもだいぶ離れ、港もなく近くに国道も通っていないため大手企業が進出するロケーションではありません。周りは「田んぼ」ばかりで、人口がどんどん減って、土地の値段も下がっているようです。
 でも、この場所は東北国際貿易の創業の地であり、私が小学校4年生から思春期を過ごした大好きな第二の故郷です。まだ具体的なアイデアは思いついていませんが、「町おこし」に協力してくれる会社があれば一緒に何かをしたいし、個人で出来るアイデアが浮かべば、大好きなこの場所を何とか活性化していきたいと思っています。もちろん、今お世話になっている千葉にも何か貢献できればとも思っています。
株式会社東北国際貿易
トラックの荷台が作業用品の倉庫になっている。
消防車もそのまま輸出される。
株式会社東北国際貿易
企業名 株式会社 東北国際貿易
事業
概要
中古車及び自動車部員の輸出販売
住所 (本社)
〒284-0001 
千葉県四街道市大日1631-1


(営業所)
〒029-3102 
岩手県一関市花泉町金沢字大沢田23番地3
電話
番号
本 社:043-308-6485
営業所:0191-36-1717
(2023/8/10)


〈編集後記〉
 
 遠くアフガニスタンからやってきて会社を立ち上げられたお父様も大変なご苦労をされたと思いますが、縄日さんご本人も大変ご苦労されたのだと思います。
 インタビューの中で「日本車は素晴らしく、海外では高い評価を得ている」と何度もお話しされ、日本のモノ作りを褒めてもらいました。我が事ではないものの誇らしい気持ちにさせていただきました。縄日さんのような方が、日本の良さを伝える「インフルエンサー」としてこの国に貢献してくれているのかもしれません。
 これからは「インターネットを使って販売先拡大に挑戦していく」と語った縄日さんは、これからも日本の良さを発信する「インフルエンサー」として更に日本のモノ作りの素晴らしさを発信し続けてくれるでしょう。縄日さんの今後のご活躍に注目です。
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