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【ちばのへり】
 海と川に囲まれた千葉県の「へり」には何があるのか。ビジネスの種が見つかるかもしれません。そんなビジネスの種を見つけるため、「ちばのへり」コーナーではそんな「種」を探してご紹介します。
Vol.82 【ちばのへり】風力発電
風力発電
「地球温暖化」を防ぐ「再生可能エネルギー」活用が急務に
 2021年(令和3年)に「改正地球温暖化対策推進法」が施工され、2050年(令和32年)までに日本は脱炭素社会の実現を目指しています。「改正地球温暖化対策推進法」では、2030年(令和12年)までに温室効果ガスを46%削減するために、「再生可能エネルギー」を使った発電・供給施設の整備や、電気自動車の普及などが進められています。
 一方2022年度(令和4年)の国内の発電量の割合は、火力が約79.8%、原子力が約6.4%と合計で化石燃料による発電が約86.2%と大半を占めています。太陽光、風力、地熱、バイオマスを使った「新エネルギー」の発電量は3.8%と、わずかの量しか発電できていません。国が目指す「第6次エネルギー基本計画」では、2030年(令和12年)までに火力発電を41%程度まで削減する事が明記され、「新エネルギー」を使った発電が急務になっています。
 千葉県で最初に風力発電の設備が導入されたのは、1993年(平成5年)に富津市に東京電力が実証実験のために設置したもので、電源の一部として使用するために初めて設置されたのは2013年(平成25年)で、勝浦市の関東国際学園でした。いずれも現在は稼働していませんが、内房の京葉工業地帯の火力発電所でも「風力発電設備」が稼働しています。
 一方千葉県に初めて売電目的で風力発電の設備が建てられたのは、2001年(平成13年)屛風ヶ浦でした。その後、銚子及び旭市飯岡地域の北総大地には約13基の複数の風力発電設備が建てられ、現在も稼働しています。
太陽光パネルと風車
匝瑳市では太陽光パネルの下で農業を行う取り組みも
君津市の発電所にも風車が設置されている

「洋上風力発電」への取り組みが進む
 銚子市と旭市の北総大地では13基もの風車が稼働していますが、大きな電力を発電するには陸上ゆえの問題を抱えています。地上を吹く風は、地形の影響を受けて風向きや強さが頻繁に変化しますが、風力発電の風車が「風の向き」に回転翼を合わせる事が出来ないとポテンシャルを十分に発揮できません。そのために風向きに自動調整する機構を風車に付けるとコストアップしてしまいます。また風の強さも同様で、強さに応じて最適な羽の形状や大きさが異なり、一定の風向き、強さで風が吹いていなければ最大の効果を得る事が出来ません。
 それに比べ「洋上」は安定した風が吹くため、「風力発電設備」を設置するには最適な場所といえ、そこで始まったのが「洋上風力発電」建設に向けた動きです。
 「洋上風力発電」には、「着床洋上風力発電」と「浮体式洋上風力発電」の2種類があります。「着床式洋上風力発電」は海底などに「杭」などの基礎構造物を設置し、その上に風車を載せる方式で、設置場所は水深が浅い場所に限定されるものの、頑強で大型の発電機を設置する事が可能です。一方「浮体式洋上風力発電」は、洋上に浮かんでいる構造物に風車を設置する方式で、水深が深い場所でも設置できるため、大量に設置する事が可能になります。しかし日本では「浮体式洋上風力発電」は「浮体」にコストがかかるため、着床式が先行して導入が進んでいます。
 銚子沖には国内初の「着床式洋上風力発電所」として、2009年(平成21年)8月から「国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構」の公募事業として研究が始まりました。2013年(平成25年)1月からは、「国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構」が「東京電力」と共同で実証実験が始まり、台風接近時の安全性、塩害に対する耐久性など施設の状況を確認すると共に、生息する生物への影響などの調査が行われ、施設の安全性・耐久性が確認できたうえに、海中にある基礎部分に藻などが付着し、魚介類が住み着いていることが確認されました。実証実験で良い結果が出た事から、2019年(令和元年)1月からは本格的に「商用運転」が始まりました。
北総大地の風力発電設備
北総大地に数多く設置された風力発電設備
本稼働を始めた銚子沖の風力発電設備

再生可能エネルギー」で地域振興に期待
 三方を海に囲まれた千葉県は、全国の中でも「海洋再生可能エネルギー(洋上風力、波力」のポテンシャルが高い)とされ、県は民間業者の進出や地域活性化の諸問題解決に向けた支援・取り組みを行うとしています。具体的に「洋上風力発電」導入に向けた取り組みが進んでいる海域は、既に「洋上風力発電」が稼働している「銚子市沖」の他、「いすみ市沖」「九十九里沖」の三つの地域があげられています。
 銚子には既に本稼働している「洋上風力発電」がありますが、他にも2022年(令和4年)に「千葉銚子オフショアウィンド合同会社」が設立され、2025年(令和7年)からは銚子沖沿岸域に31基の「着床式風力発電設備」建設が着工し、2028年(令和10年)に運転開始する計画が進んでいます。この「着床式風力発電設備」で発電された電気は一般家庭約28万世帯の消費電力をまかなう事を目標としています。
 一方いすみ市は2021年(令和3年)9月に再エネ海域利用法に基づく「有望な区域」に選定され、「東京電力リニューアブルパワー」が「着床式風力発電設備」を最大44基設置する計画で、2028年(令和10年)以降に基礎工事に着手し、2030年(令和12年)以降の運転開始を目指すとしています。また他にも7事業体の参画が計画されていますが、設置が予定される区域は「いすみ根」と呼ばれる「優良な漁場」になっているため、漁場破壊や自然破壊につながるのではと心配されています。
 更に、九十九里地区の九十九里町、山武市、横芝光町の沿岸から約10km沖合の海域も再エネ海域利用法に基づく「有望な区域」に選定され、「ユーラスエナジーホールディングス」が2022年(令和4年)に最大30基の「着床式風力発電設備」を設置する事業計画が公表されており、また「東京電力リニューアブルパワー」も最大31基の「着床式風力発電設備」を設置し、2029年(令和11年)以降の基礎工事に着手し、2030年(令和12年)以降の運転開始を目指すとされ、2社が競合して計画が推進されています。
 このように「風力発電」は「洋上風力発電」として進化し、自然破壊の心配があるものの将来的な産業振興や地域振興へつながる事が期待されています。更に千葉県は周辺地域に「再生可能エネルギー」を供給する県としての役割を担えるようになる事が期待できます。
洋上風力発電」
計画が進められている九十九里浜沖
沖には優良な漁場「いすみ根」があるいすみ市

(2025/1/10)
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