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【ちばのへり】
 海と川に囲まれた千葉県の「へり」には何があるのか。ビジネスの種が見つかるかもしれません。そんなビジネスの種を見つけるため、「ちばのへり」コーナーではそんな「種」を探してご紹介します。
Vol.86 【ちばのへり】太海
太海
かつお節が名産の町
 鴨川市の市街地から南に進んだ「貝渚」に面した太平洋上には、荒島・弁天島・鵜島・雀島・波涛根島・猪貝島・海獺島の7つの島が並び、日本三景の「松島」をイメージさせるところから「鴨川松島」と名付けられ、新日本百景にも選ばれている名所があります。
 更に南へと進むと今も漁村の風情を残す太海地区があります。かつて「波太(なぶと)」と呼ばれていた「太海」地区は、1889年(明治22年)に町村制施行で発足した「太海村」からはじまりました。「太海」という名前は、近隣の村と合併する際に「太平海(太平洋)」に面した村である事、更に「海産ノ豊太(海産物の豊かさ)」を願って名付けられました。1955年(昭和30年)には江見町・曽呂村と合併し、新設された江見町の一部になり、1971年(昭和46年)に鴨川市の一部になりました。
 この地区にある「浜波太漁港」は小さな漁港ではあるものの好漁場を持つ漁港として栄えていました。磯はアワビの漁場、イワシやカツオ漁が盛んで、明治時代にはかつお節の生産が行われ、「太海節」と呼ばれるほど有名になりました。今もかつお節の製造が行われており、名産品になっています。
 海に面した斜面には家々が隣接し、狭い路地には階段が続き、迷路のように巡っている不思議な空間で、漫画家「つげ義春」の代表作のひとつ「ねじ式」のモデルになったといわれています。
鴨川松島
鴨川松島
狭い路地が多く漁村の雰囲気を残す太海地区

頼朝に与えられた島
 太海地区の沖200mほど先に周囲4kmの千葉県で最も大きな有人島「仁右衛門島」があります。この島は「平井家」という個人が所有する島ですが、千葉県指定の名勝、更に新日本百景にもなった観光地として公開されています。島には「太海漁港」にある乗船場から専用の手漕ぎの渡し船で行くことができます。
 1180年(治承4年)に起きた石橋山の戦いで敗れ、わずかな兵を引き連れ「波太」の「仁右衛門島」に上陸した「源頼朝」を島主の「仁右衛門」が厚くもてなし再挙を助けた事で、頼朝から「平野」の姓と島周辺の漁業権を与えたとされています。
 島には頼朝が夜襲を避けて潜伏した洞窟「頼朝の隠れ穴」や小湊で生まれた「日蓮聖人」が清澄山の清澄寺で修業中にこの島の「神楽岩」で朝日を拝んだとされる「日蓮聖人霊地」などがあります。
 また、数多くの「歌碑」と「句碑」、更に現上皇陛下をはじめ皇族も見学に訪れ、記念碑も建てられています。島には四季を通じて花が絶えることがなく、イソギク、ハマカンゾウなどの海浜植物の他に金銀針茄子(きんぎんはりなす)という珍しい植物も自生しています。
 島主「平野家」の家は元々海沿いに建てられていましたが、1704年(宝永元年)に発生した「元禄地震」の影響で島の中央に建て直され、今も残る築300年以上の建物として観光客に公開しています。
仁右衛門島
仁右衛門島
仁右衛門島へは専用の渡し船で上陸する

画家に愛された波太海岸(なぶとかいがん)
 1888年(明治21年)に写生旅行をしていた洋画家「浅井忠」が、波太海岸(なぶとかいがん)を訪れ、鉛筆で描いたスケッチ「房州波太村」によって波太海岸が景勝地として知られるきっかけになりました。それによって「浅井忠」の流れを汲む「太平洋画会」の画家たちが「写生地」と選んだ事で、「波太海岸」は景勝地として知られ、多くの洋画家が訪れるようになりました。波太海岸にある旅館「江澤館」は、元々は船大工で明治末期から画家を宿泊させるようになり、1913年(大正2年)に旅館業に転業し、多くの洋画家が宿泊所として利用されています。安井曽太郎の「外房風景」は「江澤館」の4階で描かれた代表作として知られています。館内には画家が寄贈してくれた作品が展示され、「画家ゆかりの宿」として、今も愛されています。
 また、太平洋に面した太海は釣り場としても大人気で、磯釣りスポットになっており、鴨川市に合併する前の1965年(昭和40年)に江見町町営の施設として「太海フラワー磯釣りセンター」が開園しました。「手ぶらでたのしむ本格海釣り体験」をコンセプトに、釣り道具を持参せずに本格的な海釣りを楽しめる場所になっています。年間を通じてマダイやイシダイ、カサゴ、アカハタ、メジナなど多くの魚種が放流され、太平洋に面した景色を背景に実際に海釣りをしているように気軽に「釣り体験」ができる施設が人気になっています。
 太海はかつて日本初の武家政権を誕生させた歴史の舞台、そして豊富な魚が手に入る良好な漁場として栄え、景勝地として画家に愛されてきました。地域の歴史の面影を今も残している太海は、これからも歴史に触れる場所として続いていくでしょう。
太海港
画家達が滞在した画家ゆかりの宿@「江澤館」
漁村の雰囲気が漂う太海港

(2025/5/10)
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