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チバビズ探訪 バックナンバー(37~48)
Vol.41 【勝手に注目】玄 加藤海苔店
玄 加藤海苔店
江戸時代に始まった海苔の養殖
 飛鳥時代から日本人は海苔を食べる習慣があり、平安時代になると貴族たちは副食として海藻を食べ、その後鎌倉時代から室町時代になると、海苔の食べ方は現在に近い食べ方をするようになっていたようです。
 江戸時代になると海藻を食べる習慣が庶民の間に広がり、徳川家康が江戸城建築の際に食糧の集散地だった浅草の隅田川河口で採れた海苔が「浅草海苔」として広まりました。その後、当時の隅田川河口は埋め立てられたものの、東京湾で採れる海苔が「浅草海苔」と呼ばれるようになったようです。
 一方、江戸の漁師は毎日鮮魚を将軍家に献上するため、桟橋に竹などに生け簀を作って常に鮮魚を献上できるようにしていました。この生け簀に、冬になるとたくさんの海苔が生える事に着目し、海苔の養殖が始まったようです。また、江戸中期の享保年間には「海苔すき」をするようになり、現在のような海苔が作られるようになりました。
 一方、江戸の海苔商人「近江屋甚兵衛」が当時品川や大森でしかできないといわれていた海苔を千葉で養殖しようと各地に勧誘して歩いていましたが、なかなかそれを聞き入れる土地がありませんでした。千葉県の海苔の生産は、唯一甚兵衛の誘いを聞き入れた現在の君津市人見地区から養殖が始まり、「上総海苔」として知られるようになり、その後千葉県の東京湾沿岸に広まっていきました。
海苔の養殖
海苔の養殖
かつて東京湾沿岸では海苔を干す姿が普通に見られた

千葉の海苔にこだわる
 東京メトロ東西線の南行徳駅南口の駅前にある加藤海苔店は、1934年(昭和9年)に創業した三代続く海苔問屋で、千葉県産の海苔をはじめ、選りすぐりの海苔やお茶、落花生をはじめ千葉のおいしい物を販売しています。
 加藤海苔店の加藤社長は、食習慣の変化で海苔を食べる機会が少なくなった人たちに改めて「もっと海苔を食べて欲しい」という思いで、普通なら味付け海苔にはしない、有明産の香り高い柔らかな一番摘みの海苔に「こだわり」の12種類のフレーバーをまとわせた「玄」シリーズを発売したそうです。
 「高級海苔を味付け海苔にするなんて」と同業者からは白い目で見られた事もあったようですが、発売してみるとその柔らかさ、おいしさで大好評を得ています。
 加藤社長が玄シリーズのヒットに続いてチャレンジしたのは、地元千葉県産の海苔を練り込んだ「海苔チョコ」の開発でした。奇抜な発想のようですが、出来上がったチョコレートは、チョコレートの味の後に来る海苔の風味がちょっと癖になる逸品に仕上がりました。
 加藤海苔店のある行徳周辺の三番瀬は、1960年代に始まった埋め立てが進むまでは盛んに海苔の養殖が行われていましたが、今では海苔養殖の姿を見る事が少なくなってしまいました。それでも千葉の海苔にこだわりたい加藤社長は、希少価値になりつつある千葉の海苔を積極的に扱うと共に、今でもわずかに生産されている地元行徳の一番摘みの海苔をあえて「やっぱり行徳でしょ!」という名前で販売し、千葉の海苔の復活を夢見ているそうです。また、自ら「三代目海苔蔵」と名乗り「海苔おじさん」として地元の小学校で出前講座を行ったり、テレビにも出演し、「千葉の海苔の魅力を知ってもらう」「海苔をもっと食べてもらう」活動を続けています。
 今や千葉県の海苔の生産高は、10年前までは乾のり換算で2~3億枚の収穫があったものが8,500万枚まで落ち込んでいるそうです。その原因は地球温暖化の影響を受けた東京湾の変化や、クロダイに養殖海苔を食べられてしまう被害が増加するなどなので、何とか良い対策を講じて千葉の海苔を守ってほしいものです。
やっぱり行徳でしょと海苔チョコ
地元産の「やっぱり行徳でしょ!」
海苔の香りがする「海苔チョコ」

玄を食べてみた
 今回の試食をする際にあたって、地元にこだわった「やっぱり行徳でしょ!」という行徳産の海苔もありますが、今回はあえて高級海苔を味付け海苔にした「玄」を試食しました。一般的な味付け海苔に比べ、柔らかく口の中で溶けるようにほどけていきます。大手海苔店などもそれぞれ色々な味付け海苔を販売していますが、加藤海苔店の「玄」は秀逸の出来だと思います。12種類の味も一つ一つ社長が厳選して選んだものなので、ハズレが無くお好みで選べる充実のラインアップになっています。
 白いご飯に合わせるのが間違い無いのはわかっていますが、今回の試食は「つまみ」として味わうという、あえて別の食べ方を試してみました。
 また、「玄」はそのままでも十分つまみになり、あっという間にひと缶食べきってしまいますが、今回は簡単なアレンジメニューで味付け海苔の味を生かせると思われる食材を使ってみました。ちなみに今回使った「玄」は、他の食材と合わせやすい「わさび」と「唐辛子」です。
 一つ目は「わさび」玄の上にネギトロを載せてネギトロ海苔。シャリはありませんが、つまみとして食べるには定番のうまさでネギトロとワサビで愛称はバッチリです。また、アボカドをつぶして小エビを合わせたもの。これも回転ずしのネタにもあるので間違いない。更にイカの天ぷらにチャレンジしてみましたが、海苔との量のバランスがいまひとつで「玄」のうまさが薄まってしまいました。
 一方「唐辛子」は海苔にスライスチーズとハムと、スライスチーズとキュウリを巻いたものは想像通り定番のうまさでした。更に玉子焼きにもチャレンジしましたが、玉子焼きが甘めだったのでいまひとつの結果でした。出汁感の強い玉子焼きならもっと合うかもしれません。
 「玄」は良い海苔なので、何と組み合わせてもまずいという事はありませんが、せっかくの味付けが生きる組み合わせをこれからもいろいろ試してみようと思います。加藤社長も玄と組み合わせるレシピを開発中とか。間違いない味付け海苔「玄」お勧めです。
味付け海苔「玄」
味付け海苔「玄」のラインアップ 梅、醤油、焼海苔、塩、オリーブ&ソルト、かつおまぶし、ブラックペッパー、
バター風味、瀬戸内レモン、わさび、唐辛子、青のりまぶし、と味は全12種と充実のラインアップ

玄で巻いてみた
ネギトロ、アボカドとエビのサラダ、いかの天ぷらを
玄のワサビ味に載せてみた
ハムとチーズ、キュウリとチーズ、玉子焼きを
玄の唐辛子味で巻いてみた

●取材先
有限会社加藤海苔店
〒272-0138 千葉県市川市南行徳1-16-27
URL: https://www.kato-nori.com/index.htm
Facebook: https://www.facebook.com/yoichi.kato.779
Instagram: https://www.instagram.com/yoichi.kato.779/?hl=ja
(2021/8/10)
Vol.40 【勝手に注目】長狭米 竹ノ内米店
長狭米 竹ノ内米店
献上米の長狭米
 古くは世界一の人口を抱えた江戸に食糧を供給する基地として特に、物流の大動脈だった利根川沿岸の地域を中心に千葉県の米作りは発展してきました。2020年(令和2年)の都道府県別コメの生産量ランキングでは、7位が茨城県、9位が千葉県と関東では2番目の生産高を誇っています。
 千葉県は温暖な気候なので8月中旬から新米が収穫できる関東一の早場米の生産地です。なかでも千葉の三大ブランド米は、県の北東部にある多古町の「多古米」、県の南東部のいすみ市には「いすみ米(国吉米)」そしていすみ市から更に南に下った鴨川市の「長狭米(ながさまい)」です。
 長狭米は北に清澄山系、南に嶺岡山系を望む長狭平野で収穫される米で、ミネラル分を多く含んだ粘土質の土壌と良質の水という環境に恵まれた土地で、明治天皇即位の大嘗祭(だいじょうさい)に献上される米を作る斎田に選ばれるなど、献上米としても知られています。1991年(平成3年)には全国農協中央会の「日本の米作り100選」にも多古米と共に選ばれるなど、その品質を評価されています。
 長狭米で栽培されている品種は、こしひかりの他、ふさおとめ、ミルキークィーンそして、千葉県が13年かけて開発した「粒すけ」もあります。なかでも人気の「長狭米こしひかり」は、もっちりとしていて適度なねばりがあり、冷めても味が損なわれないのが特徴です。
多古町の「多古米」
常に新鮮な長狭米を提供している竹ノ内米店
 外房の鴨川市から内房の鋸南町まで全長約26kmの房総半島を横断する長狭街道(別名千葉県道34号鴨川保田線)は、古くから房総半島の外房から内房を繋ぐ街道です。鴨川から街道を西へと進み、富津市に入って間もなく右に折れる県道182号線(通称もみじロード)を右折して1kmほど進んだ所に長狭米を販売する有限会社竹ノ内米店があります。
 竹ノ内米店には、一般財団法人日本米穀商連合会が認定している「お米マイスター」や一般財団法人日本穀物検定協会で認定している「お米アドバイザー」などお米の専門家も在籍しています。
 竹ノ内米店の米は、契約している農家が収穫した米の厳しい品質検査をして一等米や二等米などに分類し、専用の冷蔵倉庫に保管して米の鮮度が保てるようにしています。また、注文を受けてから精米し出荷されるため、いつでも新鮮なお米を購入する事ができます。
 精米された米は地元のスーパーマーケットや飲食店などに卸される他、個人向けには電話注文の他、自社ショップサイトで購入する事が出来ます。また、無印良品の「諸国良品」でも竹ノ内米店の「長狭米こしひかり」が販売されています。
 直接現地で購入したい場合は、鴨川市内の長狭街道沿いにある竹ノ内米店の鴨川店で購入する事が可能です。竹ノ内米店の長狭米のファンの方はドライブがてらに鴨川を訪れ、鴨川店に立ち寄って長狭米を購入しているようです。
 ちなみに竹ノ内米店のお米はネットでも販売しているので、いつでも購入可能です。ドライブなどで鴨川方面に行かれた際は、鴨川店または富津市山中の本社でも購入できます。
竹ノ内米店本社
竹ノ内米店本社
社屋の横には精米前の米を保管する冷蔵倉庫がある

竹ノ内米店
長狭街道沿いにある竹ノ内米店の鴨川店
鴨川店の店内には竹ノ内米店の全品種が販売されている

やっぱり定番で美味い長狭米
 今回改めて長狭米試食するにあたり、休日を利用してドライブがてら竹ノ内米店の鴨川店へ直行。店頭には精米したての米が並んでいました。残念ながら新米の時期ではありませんが、冷蔵庫で保管され、精米したての商品なので条件は悪くないでしょう。
 長狭米であらゆる品種が栽培されているわけではありませんが、まずは定番の長狭米「こしひかり」をチョイス。せっかくだからもう一品買っていこうと千葉県の品種で定番の「ふさおとめ」か、はたまた「ミルキークィーン」と迷いましたが、店頭で発見したのが「粒すけ」。まだ栽培され始めたばかりのこの品種は、食べた事がありません。せっかくのレポートなので初「粒すけ」にチャレンジしてみようと定番の「こしひかり」と初お目見えの「粒すけ」を購入してきました。
 近頃は健康のために「もち麦ご飯」主体の食生活を送っていますが、今日は白米のレポートなので久々の白米です。毎日食べていると当たり前で有難みが無くなってしまいますが、やっぱり「こしひかり」はモチモチして美味い。炊き立てのご飯に、味噌汁と和のおかずで満足。「こしひかり」といえば新潟魚沼産が極上といわれますが、竹ノ内米店の米はプロが選んだ米だから間違いありません。
 次に試したのが、「粒すけ」。白米で比較するのが本来ですが、あえてごぼうの混ぜご飯のおにぎりで。炊き立てのご飯に具材を混ぜ、おにぎりにしましたが、こちらも美味い。炊き込みではなく、炊き上げてから具材を混ぜたので米が柔らかくなってしまうかと思いきや、出来たおにぎりは「こしひかり」に負けず劣らずモチモチした食感です。さすが献上米にもなった長狭米。今回試した「こしひかり」と「粒すけ」他にも「ふさおとめ」や「ミルキークィーン」もありますが、いずれの品種も美味い長狭米を是非お試しあれ。
長狭米こしひかりと粒すけ
竹ノ内米店定番の長狭米こしひかり
今回初めて試食した「粒すけ」

水戻しで立派なひじき
炊き立てのご飯に舞茸の味噌汁、おかずはサバの南蛮漬け、
長芋とはんぺんと紅生姜の落とし揚げで。
ごぼうの混ぜご飯のおにぎりに玉子焼きを添えて

●取材先
有限会社竹ノ内米店
本 社:〒299-1743 千葉県富津市山中1254
鴨川店:〒296-0024 千葉県鴨川市池田327-1
URL: https://www.takenouchikometen.com
Facebook: https://www.facebook.com/%E6%9C%89%E7%AB%B9%E3%83%8E%E5%86%85%E7%B1%B3%E5%BA%97-150661101697844/
(2021/7/9)
Vol.39 【勝手に注目】房州ひじき 斎武商店
房州ひじき 斎武商店(さいぶしょうてん)
房州ひじき 斎武商店(さいぶしょうてん)
一味も二味も違う房州産ひじき
 ひじきは波の荒い海岸近くの岩場に生え、はるから初夏にかけて成熟する海藻で、日本では古くから「ひじきを食べると長生きする」といわれています。北海道から九州にかけて生息しているほか、海外では朝鮮半島や中国南部で採ることができ、国内に流通するひじきの90%は中国や韓国からの輸入品だといわれています。
 国内産のひじきは、主に伊勢志摩、鹿児島、愛媛などが産地として知られていますが、千葉県も良質のひじき「房州ひじき」が収穫できる産地の一つです。
 他県や外国産のひじきは、収穫後乾燥させたものを水戻ししてから釜炊きしますが、千葉県のひじきは、生のまますぐに釜炊きして乾燥させる「房州製法」なので、水戻ししても太くて柔らかく、しっかりとした食感と本来のうま味と香りを楽しむことができます。この製法で作られたのが「房州ひじき」です。
 千葉県南、房州産のひじきは3月の満潮と干潮の潮位差が大きくなる「大潮」にかけて各地域の漁協が収穫を行い、加工業者が事前にひじきの採れる浜ごとに入札を行い、刈り取ったひじきを加工します。収穫は1年に一度のこの時期だけなので、1年分のひじきを加工する事になります。収穫された何十トンというひじきは加工業者の元へと運ばれ、もくもくと白い煙をあげながら、釜炊きされます。加工したての「釜揚げひじき」を食べることができるのもこの時期に限られます。
房州の春の恒例 ひじき狩り
房州の春の恒例 ひじき狩り
刈り取られた大量のひじきは
クレーンでトラックに積み込む

ひじき専門の斎武商店
 鴨川市浜荻にあるひじき専門の斎武商店は、もともと新英丸という船を持って漁をしていた網本で、ひじきや魚の加工も行っていました。現社長が婿入りして直ぐに義父が亡くなってしまったそうで、漁師経験のない社長にとって漁師をするわけにもいかず、ひじき一本で生計を立てていく覚悟をし、仲間に「房州製法」を指導してもらいながら、ひと釜6時間かける釜炊きの製法を確立しました。
 知名度の低い房州ひじきを何とか売っていくため、大手スーパーへの卸やデパートなどで開催される催事への出店などを積極的に行い、「このひじきおいしいよ。食べてみて。」と試食してもらう事で多くのファンを獲得し、名刺を配り「ここに連絡してくれれば送るよ。」と通販の顧客を拡大していきました。
 努力が実った斎武さんは「知る人ぞ知る」存在になり、ひじき狩りの季節になると毎年のようにテレビの取材がやってくるなどメディアの露出も多数あります。また、そのおいしさにこだわった製品作りは、ある大手百貨店のバイヤーの方が「日本一のひじき」と評価していました。
 ふりかけ、炊き込みご飯、スープ、春雨と自慢のひじきを使った様々な商品開発にも積極的に取り組み、更に「煮つけ」のイメージしか無いひじきを、ひじきの料理ブックを配布する事で新たなレシピの提案も行っています。
 本社・工場を兼ねた直営店では、全ひじき商品をはじめ地域のおいしいものなどを販売し、常連客や観光客が立ち寄る店になっています。
ひじきでは知る人ぞ知る斎武商店本社
ひじきでは知る人ぞ知る斎武商店本社
ひじきの釜炊き中は煙がもくもくとあがっている

千葉の房州産「さいぶのひじき」を食べてみた
 このひじきに出会うまでは、弁当の箸休めに入っている小さくて固い、とてもおいしいとはいえない存在で、食卓に出されてもほとんど手を付けませんでした。従って「ひじき=おいしい」というイメージは無く、千葉生まれ千葉育ちでも千葉でひじきが採れることすら知りませんでした。
 房州の太くて大きいひじきは今まで食べてきたひじきとは別物で、癖もなく何にでも合わせることができる万能な食材でした。いちばんシンプルな食べ方は、水戻しして洗ったひじきと野菜のサラダ。大きなひじきをもりもり食べることができます。
 乾燥したひじきは、たっぷりの水で30分から1時間ほど浸して水戻ししますが、栄養分は逃げてしまうかもしれませんが、急ぐ時にはお湯で戻すと直ぐに戻すことができます。
 今回は定番のひじきの煮つけではなく、洋風のアヒージョにしてみました。お湯で戻してもふっくらと柔らかくおいしく食べる事が出来ました。千葉県産のひじきだからこそ、和風・洋風の料理を問わずおいしく食べられるのだと思います。
 通常は乾燥ひじきしか手に入りませんが、本当は何よりお勧めなのが、「生ひじき」です。「生ひじき」といっても本当の生ではなく、採れたて炊き立ての乾燥前のひじきです。乾燥したひじきと比べて格段のうまさがあります。しかし残念ながら1週間程度しか日持せず、地元の人でも収穫の時期だけの楽しみだそうです。食べてみたい方は、是非ひじき狩りの季節に訪問してみてください。運が良ければ希少価値のある「生ひじき」に出会えるかもしれません。
水戻しで立派なひじき
水戻しで立派なひじきが。サラダでも癖なくおいしい
ひじきとタコで作ったアヒージョ

●取材先
株式会社斎武商店
〒299-5504 千葉県鴨川市浜荻924番地2
URL: http://www.saibunohijiki.com/
(2021/6/10)
Vol.38 【勝手に注目】千葉の酒 梅一輪酒造
千葉の酒 梅一輪酒造
千葉の酒 梅一輪酒造
料理に合う食中酒造りに精進する
 千葉県で日本酒の生産が始まったのは江戸時代の1624年(寛永元年)といわれています。酒蔵は城下町、門前町、河岸などにぎやかな所にあったようですが、特に当時の交通の要衝であった利根川水系の河岸はその利点を生かし、一時期は江戸で消費される清酒の一大産地になっていました。
 国税庁の2018年(平成30年)度調査分の清酒製造業の数で千葉県は36件で、栃木県と並び17位にランキングされています。
 九十九里エリアに位置する梅一輪酒造は、明治元年創業の有限会社若林酒造店と大正元年創業の合資会社中田商店が1984年(昭和59年)に合併し、株式会社 山武酒造店となり、更に1993年(平成5年)に梅一輪酒造株式会社に社名変更をしました。社名の「梅一輪」は、江戸時代の俳人の「梅一輪 一輪ほどの 暖かさ」という句からきた名前だそうです。
 梅一輪酒造が製造する酒は、ホームページに公開されているだけで35種の酒があり、ほぼ毎年品評会に出品され、毎回賞を受賞をしているようです。日本酒呑みの方には物足りないという意見もあるようですが、杜氏さんの話では、そもそも梅一輪酒造の酒造りは九十九里で造られる酒なので、魚介のような酒の肴といっしょに楽しむ「食中酒」の酒造りをしているという事でした。「料理に合う酒」「料理を邪魔しない酒」なので、飲食店で採用されているのは納得できます。
ネット通販でも購入する事が出来る
酒造りが行われている梅一輪酒造
ネット通販でも購入する事が出来る

変わらない酵母と変わる地元産米への変更
 昔の日本酒は蔵に住み着いている酵母の力に頼って酒造りをしていたそうですが、雑菌と混同しやすく、醸造される酒が安定しませんでした。そこで1906年(明治39年)に酒造試験場が全国各地の酒蔵から60あまりの酵母を分離し、その中から優良とされたものを協会酵母として登録し、各酒蔵に提供されるようになりました。
 なかでも「きょうかい酵母9号(901号)」は、酸が少なく香気が高いので吟醸種造りに向いている酵母で、この酵母を利用する吟醸酒の発展に大きな役割を果たしたからだそうです。梅一輪酒造は目指している食中酒造りには、この「きょうかい酵母9号」は欠かせない要素として全ての日本酒に使っているそうです。
 また、2020年(令和2年)の新酒造りからはほぼ全ての酒に使う原料の米を千葉県産の物に変える事にも取り組んだそうです。今までは大吟醸酒や新種の品評会に出品する酒のほとんどは、兵庫県産の特A級の山田錦を原料にしていたそうですが、充分酒造りに使える千葉県産の山田錦の供給体制が整った事から、念願の「地元の米でおいしい酒造り」ができる体制を構築する事ができたそうです。
酒作り工程
精米された米は蒸工程へと進む
蒸しあがった米に麹菌を撒いて麹造りが行われる

酒作り工程
蒸しあがった米を入れて仕込みが行われる
仕込みタンクの中

酒作り工程
酒が仕込まれるホーローのタンク
ずらっと並ぶ酒が仕込まれたタンク

試飲して勝手に評価してみた
 2020年秋季全国酒類コンクール第一位特賞を受賞した純米酒と2020全国燗酒コンテストのプレミアム燗酒部門最高金賞を受賞した吟醸純米を買ってみました。どちらも千葉県産の「ふさこがね」で造った酒で、千葉の米を使っている所はチバビズ的にもGoodです。
 肴は日本酒に合う和食(寿司など)を用意し、純米酒はお燗がおすすめとなっているようですが、個人的にはお燗した酒が得意ではないので、ひやのまま飲んでみました。
 酒の味わいを表現するだけの知識も語彙力もなく、通の方には「それじゃわからん」と言われそうですが、千葉の地酒を20種位は試飲してきた中で、梅一輪さんの酒は「食中酒」造りをされているだけあって、どちらも癖がなく、すっきりしていて肴に合う「食中酒」だと感じました。県内の飲食店の看板に「梅一輪」の文字をよく見かけるのも納得です。
 もっと主張する酒が好きな方には物足りないのかもしれませんが、料理と一緒に酒を楽しむには最適な酒で、筆者のように癖の強い酒が苦手な方や女性や外国の方にもお勧めの飲みやすい酒だと思います。私にとっては晩酌に最適な酒でした。
日本酒に合う肴
今日は奮発して寿司と酒を楽しむ
他にも日本酒に合う肴を用意

●取材先
梅一輪酒造株式会社
〒289-1303 千葉県山武市松ヶ谷イ2902
TEL: 0475-84-2221
URL: http://www.umeichirin.com
Facebook: https://www.facebook.com/umeichirinshuzo/
(2021/5/10)
Vol.37
千葉都市モノレールのある風景
千葉都市モノレール
ギネス世界記録の懸垂型モノレール
 千葉都市モノレールは、千葉市内のJR京葉線の千葉みなと駅から県庁前駅を結ぶ1号線と、JR総武線千葉駅から市営住宅など大きな団地がある千城台駅を結ぶ2号線の2路線を持ち、「タウンライナー」の愛称で呼ばれている懸垂式モノレールです。その総営業距離の15.2kmは懸垂式モノレールとしては世界最長で、2001年(平成13年)にギネス世界記録に認定されました。
 千葉都市モノレールの沿線には千葉市役所、千葉県庁やスポーツセンター、動物公園などの施設やJRにも乗り入れしているため、現在は市民の足として利用されています。
 モノレールは大別するとレールをまたぐ跨座式(こざしき)と、レールにぶら下がる懸垂式の2種類があります。現在走行している国内のモノレールでは、跨座式は東京モノレール(東京)、多摩都市モノレール(東京)、舞浜リゾートライン(千葉)、大阪モノレール(兵庫)、北九州高速鉄道(広島)、沖縄都市モノレール(沖縄)の6路線があり、懸垂式は千葉の他に湘南モノレール(神奈川)、スカイレールサービス(広島)の2路線があります。
 レールが2本必要な鉄道に比べ、モノレールはレールが1本で済むので新たに路線用地を確保する必要も、必要なスペースが少なく、既存の道路に路線を引き道路を走る車の上を走れるなど建設費が相対的に安くつくというメリットがあります。
 懸垂式のモノレールは積雪に強くカーブを高速で走行できるという長所があり、レールをまたぐ跨座式の方は建設費が安く済むという長所があります。
タウンライナー
千葉駅
千城台駅

当初の計画は破棄となる
 タウンライナーは千葉市内で発生する慢性的な交通渋滞や、バスなど公共交通機関が受ける影響の緩和、千葉市内中心市街地への輸送体系の強化、総武線千葉駅へ一点集中の分散、海浜ニュータウンおよび内陸住宅団地と、中心市街地の交通の結合をテーマとして計画されました。
 現在1号線はJR東日本の京葉線千葉みなと駅から県庁前駅までを結び、2号線は千葉駅から千城台駅までを結んでいますが、当初は県庁前駅から市立青葉病院までの延伸ルート、更に延伸検討ルートとして千葉みなと駅から稲毛海岸へ、そこから二手に分岐して穴川方面と幕張新都心を通り幕張本郷駅へと延伸する計画でした。
 タウンライナーを運行する千葉都市モノレール株式会社は、1979年(昭和54年)に千葉県と千葉市それに民間企業が出資して第三セクターで設立され、1988年(昭和63年)に2号線のスポーツセンター駅―千城台駅が開業、1991年(平成3年)に2号線の千葉駅―スポーツセンター駅間が開業、1995年(平成7年)には1号線の千葉みなと駅―千葉駅間が開業しました。
 その後2009年代に1号線の次期延伸区間として予定されていた県庁前~市立青葉病院前までの延伸計画は、財政難を理由として白紙となり、更に当初構想にあった稲毛海岸へ、二手に分岐して穴川方面と幕張新都心を通り幕張本郷駅へと延伸検討ルートも次期延伸区間として予定されていましたが、いずれも2019年(平成31年)にモノレール導入を行わない事を決定しました。
第三セクター
スポーツセンター駅
千葉みなと駅

イベントとキャラクターでお客様により近づく
 千葉都市モノレールは、利用客を増やすためのイベントとして、他のローカル鉄道のように「歌声モノレール」や「クリスマスワイントレイン」「お花見&ワイン列車」「クラフトビールトレイン」などイベント列車を走らせるなどの取り組みも行っています。
 また、毎年秋には、荻台車両基地を会場にして「ちばモノレール祭り」を開催しています。当日は普段は立ち入れない洗車機や検修庫の施設の見学や、県内外の鉄道会社の展示やグッズ販売、野外ステージや各種店舗の出店、鉄道模型の展示やミニ機関車、芋掘りなど盛りだくさんな企画で多くの家族連れを集めるなど利用者を増やすために懸命に努力しています。
 市外への発信では、「モノちゃん」というキャラクターを作り、グッズ制作をはじめ、「ゆるキャラグランプリ」にも参戦するなどキャラクター展開をしています。また、タカラトミーグループの株式会社トミーテックが、全国各地の実在する鉄道事業者で実際に活躍している様々な職種のキャラクターを「鉄道むすめ」としてフィギュアなどの製品にして販売していますが、千葉都市モノレールでも葭川となみ(よしかわとなみ)という駅務員のキャラクターを作り、Webサイト上で行われる『鉄道むすめキャラクター総選挙』にも参戦しています。
 自社のキャラクター展開とは別に千葉県フィルムコミッションと連携し、ドラマ、映画、CMなどの撮影協力も行う他、テレビアニメとのコラボレーションなど様々なコラボレーションも行っています。なかでも2018年(平成30年)にVOCALOIDの初音ミクのバーチャルライブ開催に伴い初音ミクのラッピング車両を走らせた事がきっかけで、2020年(令和2年)までの3年間に渡ってコラボを繰り返し、ラッピング車両の他コラボグッズ販売まで展開しています。
 もっと市民に愛され、利用されるモノレールになろうと本業とは別の企画を次々導入し、利用者増、赤字解消に努力し、ギネス記録も持ち千葉市のシンボルの一つになった千葉都市モノレールをもっと利用し活用してみたら如何でしょうか。
ラッピング電車
アニメとのコラボのラッピング電車
 イベントが開かれる車両基地

モノちゃん神社
モノちゃん神社が設置されている都賀駅
改札口の中にはモノちゃん神社が設置されている

(2021/4/10)
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