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ぴかいちば
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千葉のきらりと光る
社長へのインタビューをご紹介。
社長の熱い思いを語っていただきます。

本物の「千葉土産」を作る
こだわりの薄焼き煎餅
 「有限会社田子作本舗」は、創業70年を迎え、薄焼き煎餅の製造販売をしています。「田子作」という名前は、「田舎風」を示す名前のように思われます。実際は創業者の祖父が煎餅工場の前に広がる東京湾越しの雪をまとった富士山を見て、万葉集の「田子ノ浦」の詩が浮かんだ事からこの名前をつけました。
 元々は東京の小岩で「長島味噌」という味噌屋をやっていたのが始まりでした。たまたま当時は海岸だったこの土地を持っていたので、祖父と祖母が移住してきました。当時は戦争で塩の入手が困難だったため、この土地に塩田を作って海水を汲んで塩を作り、その塩を使って味噌を作っていました。その後外国から塩が入ってくるようになって、塩作りをする必要がなくなり、塩田にしていた土地が空いてしまいました。
 祖父の従弟が戦前に東京の下町で柳橋や神楽坂の料亭の様な所に卸す煎餅を作っていた事があったので、空いた土地の相談をしたところ「煎餅の天日干し」にちょうど良いという話になって、祖父が従弟の指導を受けて煎餅屋を始める事になったのが「田子作煎餅」の始まりでした。
 その時教わった煎餅は、「草加煎餅」のような分厚い煎餅ではなく料亭のお茶請けで使用されるような薄焼きの煎餅でした。
 「田子作煎餅」の材料は「千葉県産のコシヒカリ」と「千葉県産の本醸造の醤油」のみで、それを「炭火」で焼いた煎餅です。製法、原料にこだわる為、大量生産は出来ません。だからほとんど卸をやらずに、ここ本店と道場店、千葉そごう店の千葉市内の3店舗と唯一東京にある銀座店の四店舗と自分たちが目の届く範囲でしか販売していません。店舗では薄焼き煎餅を中心に、「厚焼き煎餅」や「揚げ煎餅」など自家製の煎餅のみを販売しています。シンプルで素材の味が生きるような商品を求めているお客様に愛され、「ようやく美味しい煎餅を見つけた」「子供にも安心して食べさせられる」という声をいただいています。
有限会社田子作本舗
本店と工場
炭火焼は店頭で手作業で行われている
有限会社田子作本舗
店舗の正面にはメインの薄焼き煎餅が並ぶ
薄焼き煎餅の他に厚焼きや揚げ煎餅も販売している

覚悟して
「のれん」受け継ぐ決心をする
 創業当初は「何でこんなに薄い煎餅が百円もするんだ」となかなか相手にされなかったそうです。また薄い生地で作る煎餅は、途中で割れてしまうなどロスが多く、仕方がなくお菓子屋さんなどを回って売って歩いていたそうです。
 そうこうしているうちに、東京から疎開をしてきた人達や、煎餅通の方たちが「千葉にもこんな煎餅があるのか」と贔屓にしてくれるようになり、そこから少しずつ広まっていきました。
 「有限会社田子作本舗」の創業者となった祖父は、町会長や観光協会の役員をしていた事もあるなど非常に付き合いの広い人で、今もある「千葉そごう」には開店当初から店舗を構えております。
 千葉の「お土産」は「落花生」や焼蛤、海苔をはじめ農産物、海産物が多くありますが先代は千葉の人が「これは千葉の手土産だ」といえる上品な物を「米どころ千葉」の米を使って作る事が、千葉の活性化につながるのではないかと、「千葉の米」と「千葉の醤油」にこだわった煎餅づくりをするようになったそうです。
 二代目の私の父は男四人兄弟の長男で、小学校の5~6年生から手伝っていたそうです。大学は神奈川だったので下宿していましたが、卒業後そのまま実家で働くようになりました。一方、私はというと大学を卒業して30歳位までは、東京で働いていましたが、ある時、父と店を切り盛りしていた母の病気が見つかり、余命何年と宣告されてしまいました。父は煎餅の製造と営業回りで手いっぱいで、母がいなくなったら大変な事になると思った事がきっかけで会社を辞めて帰ってくる決心をしました。
 父の話では、幼稚園位の時に後を継ぐ事を私は「田子作になる」と言っていたそうですが、具体的に自分が継ぐ事を考えた事はありませんでした。
 しかし親族や従業員と関わっている人も多く、その時は「出来るかどうか分からないが、必ずどうにかする。やるしかない」と覚悟しました。
有限会社田子作本舗
初代が自費出版で出版した創業時代の歴史本
千葉県産米需要拡大推進協議会からの表彰状

「コロナ禍」をきっかけに
新たな顧客開拓に取り組む
 私が家業に関わる前からホームページはありましたが、2020年(令和2年)の5月に「コロナ禍」で世界が止まって、人と人の往来が無くなり、手土産等の需要も大幅に減少しました。
 その時に「商圏をもっと拡げなくては」と思って立ち上げたのが現在のホームページです。
 また同年8月に「煎餅の生地」を作る工場を完成させ、この敷地内で一貫して作れるようになりました。
 それ以前は「煎餅の生地」作りは東京の親戚と作っていましたが直接お客様に対峙しているお店のすぐ近くで「煎餅の生地」も作るようになった事がこれからの私達の強みになります。
 千葉の米を使って毎日「煎餅の生地」を作り、炭火で焼いて千葉の醤油で味付けをして、「千葉の手土産」になる美味しい煎餅を作るというこだわりは、私たちにとっては当たり前の日常です。また私達を昔から見てきたお客様には私たちのこだわりを分かっていただけていると思います。しかしこれからはそれを知らない人達に知ってもらう事も大切だと思い、インスタグラムやフェイスブックなどSNSでも発信する様にしました。
有限会社田子作本舗
2020年に施工された煎餅生地製作工場
繊細な取扱いが必要な薄焼き煎餅の生地
創業の「志」発信していく
 生地作りから焼き上げまですべてを自社で作っている煎餅屋はそれほど多くありません。
 生地は生地屋から仕入れ、店頭で焼いて売っている所も多く、「どこの米」と聞かれても分からないことも珍しくありません。
 一方、田子作煎餅は生地作りから焼き上げまで一貫しています。
 美味しい煎餅は「米」が「肝心かなめ」です。
 田子作煎餅では食卓に並ぶ米と同じ、千葉県産のコシヒカリを使用します。 「醤油を付けなくても田子作の煎餅は美味しい」「お米の甘さを感じて美味しい」とか「子供がこれを食べると他の煎餅を食べなくなった」と言っていただけるのは、原料のお米が良いからです。
 そんなこだわり抜いた煎餅を作っていますが、「千葉の手土産」についてのアンケートを見せてもらったところ、千葉県レベルでとったアンケートでは「田子作煎餅」の名前はそれほど多くはありませんでした。
 そんな原料、製法にこだわった煎餅を作っていますがまだまだだなと感じております。
 「炭火で仕上げた千葉の味」「ハレの日には田子作煎餅」という創業当時の「志」を原点に「千葉には千葉の米を使って千葉の醤油を使って炭火で美味しい煎餅を作っている所がある」という事をもっと伝えていこうと思っています。
有限会社田子作本舗
原料になる一般に販売されているコシヒカリの無洗米
店舗で販売されているオリジナルエコバッグ
有限会社田子作本舗
企業名 有限会社田子作本舗
事業
概要
米菓の製造販売
住所 本店:
〒260-0021 
千葉県千葉市中央区新宿1-20-5

道場店:
〒260-0005 
千葉市中央区道場南2-17-6

銀座店:
〒104-0061 
東京都中央区銀座1-22-10
銀座ストークビル1F

千葉そごう店:
〒260-0028 
千葉市中央区新町1000
千葉そごう本館地下1F
電話
番号
043-241-4638(本店)
HP HP:
https://www.ajoyh.jp/

Facebook:
https://www.facebook.com/
profile.php?id=61565447878326
&locale=ja_JP


Instagram:
https://www.instagram.com/
tagosakusenbei1954/
従業員 30名
資本金 1,000万円
(2025/9/10)


〈編集後記〉
 
 「田子作煎餅」は子供の頃から高級煎餅として知っていました。今回インタビューさせていただき、何故美味しいのかがよくわかりました。厳選した材料とシンプルな製法、そして一つずつ手焼きで丁寧に作られているからでした。
 四方をライバルに囲まれ競争の中で過ごしてきた他県に比べ、半島県の千葉は首都近郊で海に囲まれ温暖な気候と、恵まれすぎているがゆえ代表となるような「千葉土産」が育っていなかったのかもしれません。どこに出しても恥ずかしくない「オール千葉」の「千葉土産」を作ろうと奮起した事は素晴らしい事だと思います。
 インタビューの最中も、手土産として買いに来たお客様が「ひっきりなし」に来店されていました。まさに「千葉に田子作煎餅あり」だと感じました。

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