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【ちばのへり】
 海と川に囲まれた千葉県の「へり」には何があるのか。ビジネスの種が見つかるかもしれません。そんなビジネスの種を見つけるため、「ちばのへり」コーナーではそんな「種」を探してご紹介します。
Vol.72 【ちばのへり】犬吠埼
犬吠埼
日本の灯台50選に選ばれた重要文化財
 千葉県の最東端にあたる銚子半島にある犬吠埼は日本一早い初日の出スポットとして知られています。日本三大河川のひとつ「利根川」の河口付近にあり、付近一帯は水郷筑波国定公園に含まれている景勝地です。
 沿岸には遊歩道が設けられており、岩場を散策できるようになっています。また隣接している君ヶ浜海岸は「日本の森滝渚全国協議会」が加盟自治体から選んだ「日本の渚100選」に選ばれています。
 銚子は醤油の生産地として栄え、更に銚子沖は魚介類が豊富で、多くの船舶が入出港していましたが、犬吠埼付近は岩礁や暗礁が多く、海流が複雑で「鳴門海峡」、「伊良湖岬沖」と共に海の三大難所といわれ多くの人が亡くなった場所で、その状況を変えるべく銚子漁港の改修と灯台の設置が求められ、1874年(明治7年)に「犬吠埼灯台」が竣工・初点灯しました。
 この「犬吠埼灯台」は日本を代表する灯台のひとつになっており、1998年(平成10年)11月1日の第50回「灯台記念日」の行事として海上保安庁が募集し一般の投票で選ばれた「あなたが選ぶ日本の灯台50選」に野島埼と共に選ばれました。また、国際航路標識協会が1998年(平成10年)に提唱した「世界各国の歴史的に特に重要な灯台100選」で選ばれた日本国内の5つの灯台のひとつにもなっています。更に2010年(平成22年)には「犬吠埼灯台」が国の登録有形文化財に登録され、2022年(令和4年)には国の重要文化財にも指定されました。
利根川
岩場には散策路が作られている
利根川河口

犬吠埼灯台
銚子一帯は岩場が多く存在する
国の登録有形文化財になっている犬吠埼灯台

白亜紀の地層は江戸時代のオプショナルツアーで人気
 地球は表面を覆う十数枚の厚さ100kmほどの「プレート」に覆われています。千葉県の沖合は「北米プレート」に「フィリピン海プレート」が沈み込み、それに「太平洋プレート」が沈み込む3つのプレートがひしめき合っている世界でも珍しい地域で、更に房総半島はひとつの地層で成り立っているわけでなく、いくつかの地層が集まってできた半島です。
 南部の「安房丘陵」はプレート上の堆積物がはぎ取られ陸側に押し付けられたもので、中央部の「上総丘陵」は深海の泥と浅い海からの砂が交互に重なった層が陸化したもの、更に北部の「下総台地」は内海(かつての浅かった東京湾)であった部分が気候変動による海面水準の変化で陸化した土地と、異なった地層が集まって出来ています。
 一方銚子は下総台地から続く海岸線は海洋プレートに乗ってはるか遠洋の海底から運ばれてきた「チャート(堆積岩:放散虫など石英質の殻を持つ生き物が溜まって出来た石)」や、大陸の砂岩や泥岩が集まってできており、「安房丘陵」「上総丘陵」「下総台地」とも異なった地層で出来ています。更に犬吠埼の南端「長崎鼻」は人類も誕生していない1億4,550万年前から6,600万年前にあたる「白亜紀」にできた砂岩や泥岩、2000万年前の溶岩が固まった「安山岩」などが存在し、他の地域とは異なった成り立ちで出来ている事がわかります。
 房総半島のほかの地域とは異なった成り立ちの犬吠埼は、江戸時代には観光スポットとして人気を博していました。江戸時代の旅行で人気だったのが「伊勢神宮」参拝の代わりになるとされた「鹿島神宮」「香取神宮」「息栖神社」の三つを巡る「東国三社巡り」でした。また「オプショナルツアー」として銚子海岸を旅する「磯めぐり」も人気を博していました。「磯めぐり」は、「江戸前」東京湾とは違った太平洋に面した荒々しい海と岩場、「源義経」の愛犬が岬に置き去りにされ、主人を慕うあまり7日7晩泣き続けた事から「犬吠埼」と名付けられたその場所は、旅を感じる景色だったのでしょう。また、義経の犬が「犬岩」になったとされる伝説も旅心を掻き立てる要素だったかもしれません。
九十九谷
南房総に広がる安房丘陵
九十九谷と呼ばれている上総丘陵

犬岩
犬吠埼南端の長崎鼻
 源義経の愛犬が岩になったと伝説になっている「犬岩」

洋上発電と犬吠埼でかつての繁栄を取り戻す
 海の安全を守り観光の目玉になる「犬吠埼灯」と「犬吠埼灯台」、更に古代の地層を見る事が出来る「ジオパーク」と犬吠埼周辺が銚子観光の目玉になっている一方、昨今ではエネルギー政策の一端を担う「風力発電」の拠点としても注目を集めています。
 「東洋のドーバー」として知られる屛風ヶ浦がある「下総台地」は、太平洋に面し、年間の平均風速が6mを越える地域である事から、たくさんの風力発電の風車が建設され、巨大な風車の並ぶ景観はみごたえのある物になっています。
 また、風力発電の取り組みは「洋上風力発電」への取り組みへと新たな展開が始まっています。東京電力は2009年(平成21年)8月から国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業で銚子沖に国内初の着床式の洋上風力発電所を建設しました。更に研究を重ね、2013年(平成25年)からはNEDOと共同で実証実験を実施しましたが、心配された漁業への影響は、海中にある基礎部分に藻類が付着し、魚介類が住み着いていることが分かり、漁業との共生にも期待が持てる事がわかりました。この「洋上風力発電」は2019年(令和元年)には商用運転を開始しました。
 更に三菱商事は、共同事業体「千葉銚子オフショアウインド」を作り2028年(令和10年)に30基の風車が回る「洋上風力発電所」完成を目指して銚子市と共に新たな取り組みが始まっています。発電された電気は千葉県香取市にある東京電力の「新佐原変電所」を経由して首都圏に送られるようになります。自然減と都市部への流出で人口の減少と少子高齢化が進む銚子市は、産業の後継者不足が課題となっており、やりがいが感じられる雇用を早急に創出する必要があり、この「洋上発電所」建設のプロジェクトに大きな期待をしています。
 一方観光では銚子が「地質遺産」として2012年(平成24年)に「銚子ジオパーク」が日本ジオパーク委員会に認定され、観光の新しい目玉がひとつ誕生したものの、残念ながら2018年(平成30年)に「犬吠埼マリンパーク」が閉館になり、64年の歴史を閉じました。
 しかし、翌2019年(平成31年)元日に地域活性化・観光振興・情報発信を目的とした「犬吠テラステラス」がオープンし、地元産の魚の加工品や野菜などを販売するマルシェ、県内の物産を販売するマーケット、地ビール工房やカフェ、更に犬吠埼からの景観を楽しめる展望テラスなどで今では犬吠埼の大人気スポットになっています。
 また、日本財団が行っている「海と日本プロジェクト」の一環で展開されている全国88の灯台を擬人化した「燈の守り人(あかりのもりびと)」プロジェクトが2020年(令和2年)から始まり、犬吠埼を擬人化したキャラクターの贈呈式が2023年(令和5年)2月に行われました。このプロジェクトは、夫々のキャラクターを主人公に、声優によるボイスドラマの配信を皮切りに、漫画やイベントなど幅広い展開が行われ、若者たちの心を掴む取り組みも行われました。銚子電鉄はこの取り組みに参加し、車両のヘッドマークや中吊りを掲示するイベントを行った他、「犬吠テラステラス」ではキャラクターをプリントしたTシャツやバッグ、タオルなどが販売されています。
 「洋上発電」で地域創生に取り組み、犬吠埼の新たな観光スポットの登場で、かつての観光地「犬吠埼」復活と更なる発展に期待しましょう。
ヴィーナス岬
下総台地には沢山の風力発電の風車が並ぶ
洋上発電の実証実験で設置された風車と風力観測の塔

犬吠テラステラス
灯台下には手紙を出せば願いが叶うといわれるポスト
犬吠埼の新しい人気スポット「犬吠テラステラス」

(2024/3/8)
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